2015年2月2日月曜日

[犬] 初めて飼った犬のこと

アレックスは私が子どもの頃に実家で飼っていたシェルティです。
だいぶ前に亡くなってしまいましたが、大事な大事な”弟”でした。

父の仕事の都合で他県への引っ越しが決まり、
友達と離れる寂しさでぶぅぶぅごねる私と弟を黙らせたのが
「新しい家では犬を飼ってもいい」という条件でした。

引っ越して一週間、地方紙の子犬譲ります情報を発見し、
まだ荷物も片付かないうちに新しい家族になったアレックス。

わずか三日で段ボールの即席サークルを乗り越え、
リビングで一生懸命に欽ちゃん走り。
4、5日でトイレを覚えたお利口っぷりに反して、
クーラーの下でへそ天、丸いクッションの上で海老反りへそ天。
毎朝、カサコソ足音をたたて寝室に近づいて、
ドアをカリカリして「起きてください」。
尻尾を踏んでしまったときに、初めてキャンって吠えたこと。
(本当にごめん)

まだ5ヶ月かそこらで、出かけた先の花火に驚いて一晩行方不明事件。
どれだけ心細い思いをしただだろう、無事見つかって本当によかった。

甘ったれでいつだって母をストーキングし、
父が出張から帰れば、私と弟の横に行儀よく並んで
「僕にもお土産をください」アピール。
首を傾げながら私の愚痴を聞いてくれる代わりに、
自分が悪戯をして叱られればそろっと弟の後ろに隠れて「助けて」。
誰かがリビングでゴロゴロしていれば、こそっと体をくっつけて添い寝。

普段はおデブに見えるのにお風呂ではガリガリ。
お風呂上がりの洗い立てのセーターみたいな匂い。
ついでに頭はフライドチキン、足の裏は枝豆の匂い。。

ピアノ(エリーゼのためにだけ)が大好きでこぶしを聞かせて歌う様。
留守番の時の不満そうな顔。

室内犬だったのに、いつしか庭に出たまま戻らなくなり、
普段は「巣穴」と決め込んだ縁の下に潜っていて、
たまに思い出したように家の中を覗いてみたり。
野原でスズメを追いかけてずっと遠くまで行って、
ふと我に返ってオロオロする姿。呼び戻してやった時の嬉しそうな顔。
人間の家族がケンカしようものなら、慌てて仲裁に飛んでくる。

就職と同時に家を出たため、老犬時代はあまり一緒に
過ごせませんでしたが、帰るたびに徐々に上がらなくなっていく足。
いかにも年を取ったなぁという感じのプルプル。
白内障で濁ってしまった右目。

晩年、体調を崩した時のこと。体を撫でてやる手を止めようとすると、
「ずっと撫でていてよ」と言うように、静かに前足で催促していました。

それからだいぶ元気になって迎えた13歳の誕生日からわずか2日後。
アレックスは虹の橋を渡りました。

弟から連絡を受けて、泣きながら飛び乗った深夜のタクシー。
二人で泣き明かした夜。

身の入らなかったその週の仕事。
火葬場への道、煙突の煙、温かかったお骨。
まだ2月なのに、アレックスがいつもいた縁台の脇のクレマチスが
一輪だけ咲いたこと。

思い返すと切りがないです。

今思えば何の準備もないまま迎え入れ、
知らないうちに可哀想なことをしていたこともあったのではと思います。
社会化という概念も知らず、生後1か月で貰われてきて犬としての自覚も不十分。
無駄吠えに悩んだことも、手を咬まれたこともあります。
けがや病気に心配させられることもありました。

それでも、私たちの期待に応えようと、
いつも目と耳をこちらに向けていたアレックスは
私たちにとって最高の家族でした。

大好きなアレックス。ありがとう。君のおかげで今の私があるよ。
これからもずっとずっと、みんなの中にいるからね。


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